佐敷字屋比久の女性たちでつくる「コスモス会」は、最高齢のMさん(93)から最年少のHさん(76)まで、9人全員が元気はつらつ。公民館でのゲームやミニデーサービスなどでしょっちゅう集まっているが、月に1回はおいしいものを食べに行くのが何よりの楽しみで、往復の足となっているのが「お出かけなんじい」だ。
この日は、雨の中、7人の会員が奥武島のいまいゆ市場に行き、新鮮な海の幸でおなかをいっぱいにした後、ゆっくり品定めしながら魚や刺身のお土産を買っていた。代表のMさん(79)は「足の悪い人もいるので、バスはとても助かっている。ずっと末永く、走り続けてほしい」と期待していた。
神戸市内から観光で来ていたご夫婦は、那覇から路線バスで斎場御嶽に来て、その日の宿泊先のユインチホテルに行くのにどうすればいいか、御嶽のスタッフに聞いて、「お出かけなんじい」を知った。さっそく電話でお迎えを頼み、翌日もホテルから、おいの結婚式が開かれる百名伽藍まで利用した。
奥さんは運転免許を持っているが、「慣れない土地での運転は怖いから」とレンタカーをあきらめバス路線を一生懸命に調べていた。でも「こんなすてきなバスがあるなんて知らなかった。神戸に帰ったら知り合いに宣伝します」と、南城市がすっかり気に入った様子。百名伽藍からの帰途も、那覇への路線バスが集中する馬天入り口バス停まで乗車した。
玉城字仲村渠の自宅から佐敷の丸大まで買い物に乗車したAさん(74)は、「丸大は水曜日と土曜日がポイント5倍になるので、私か主人かどっちかが必ず利用している」という。行きは路線バスを利用することもあるが、帰りは買い物で荷物が重くなるので、自宅まで行ってくれるなんじいバスはなによりとか。
大里のイオンでは、食料品などを2000円以上購入した客に当日のみ有効の無料乗車券を発行しているため、行きの300円だけで往復乗れるとしてバスの人気も高まっている。
向陽高校3年のIさん(17)は、ふだんは両親の車で自宅と八重瀬町の学校間の送り迎えしてもらっているが、テストの早帰りとか休校時の課外講習などの時には、お出かけなんじいを利用する。
この日は課外講習で、土曜日の9時に自宅迎えを頼んで乗車したが、「ずいぶん助かっています。今は学校まで来てくれるのでありがたいです」と感謝の言葉をいただいた。なんじいバスを利用する同校生徒は十数人いるが、これからも増えることを期待しています。
世界遺産・斎場御嶽でガイドをしている玉城の0さん(59)は、毎月平均して6.7回はなんじいバスを利用している。玉城から御嶽のある知念字久手堅までを一本で結ぶ路線バスはなく、なんじいバスがない頃は庁舎間巡回バスに乗っていた。しかしこのバスは、運行ダイヤが決まってるためバス待ちに無駄な時間を費やすことが多かったうえ、役所の休みの土、日曜日は運休するから使えなかった。
「運転免許を持たない私にとってなんじいバスは最高のプレゼント。観光客の方にも、やさいい南城市のおもてなしの心の一端としてPRしています」と笑顔で話していた。
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